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銘菓の装い

豊島屋のAnother Work 鎌倉市海水浴場の命名権(材木座・由比ガ浜・腰越海水浴場)

 昨年3月、新聞を見ていた私は、アッと声を上げました。鎌倉市が市内3つの海水浴場(材木座・由比ガ浜・腰越)の維持管理費を確保するため、海水浴場の命名権(ネーミングライツ)のオークションをするという記事が出ていたのです。「そんなに困っていたのなら、なぜ早く市民に公表し、相談しなかったのか」。驚き、憤慨しながら、ともかく命名権を獲らねばと心を決めました。
 子どもの頃には親に連れられての夕涼みの散歩がてら浜辺に並ぶ屋台の射的やスマートボールで遊び、青春時代には仲間たちと夏を謳歌した浜。そこが、スポーツ施設のような人工物でもないのに、企業名や商品名などで呼ばれることに違和感を覚えたのです。
 命名権取得には、県内外から9つの企業や個人が応募しました。当社が金額を含めた総合評価にて獲得。今年2014年3月に、3つの海水浴場の愛称とロゴマークを公募しました。結果は――。
 全国から届いた約400件ものご意見の約1割、最多の案が「新たな愛称はつけず、これまで通りに」。これで、良し! 決定しました。
 それにしても、今回、多くの方から「ありがとう」という言葉をたくさんいただきました。思ってもいなかったことで驚いています。
 当社が取得した権利の期間は10年間。その間に、命名権料に頼らなくても必要な資金を海水浴場自らが生み出す仕組みを創っていければと思います。
 海・山の自然に恵まれた鎌倉。ふるさとへの恩返しの仕事は、始まったばかりです。

 久保田陽彦 (豊島屋 社長)

交通の便がよく、比較的波が穏やかな鎌倉の3つの海水浴場には、夏の2カ月間に100万人以上が来場する。

7月1日に行われた海開きの神事。海水浴場に集う人たちの安全を祈願した。 小さな子どもたちが海で安全に遊べるように、由比ガ浜の波の穏やかな区画に「キッズ&ファミリービーチ」を市に提案。2014年夏、初めて開設した。 蒸し羊羹「由比の濱」、干菓子「和賀江島」。豊島屋では古くから鎌倉の海辺の景色や風情に題材をとった菓子を作ってきている。 ロゴマークは海水浴場のグッズなどに使用。その収益を海水浴場の維持管理費に充てるなど、海を訪れる皆が負担を分け合う仕組みに役立てられたらと考えている。


■ 鎌倉市海水浴場

材木座・由比ガ浜・腰越海水浴場


■ 鎌倉市海水浴場愛称決定について

鎌倉市役所ホームページ


■ 豊島屋

神奈川県鎌倉市小町2-11-19(本店)
TEL:0467(25)0810
http://www.hato.co.jp


左手の車庫には伊丹の最後の愛車、ベントレーが展示されている