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私ども森八は寛永2年(1625)に、ここ金沢で和菓子屋の暖簾を揚げました。おかげさまで創業390余年を迎えておりますが、2011年に本店を新築移転いたしました際、2階に「金沢菓子木型美術館」を造りました。 菓子木型は文字通り、和菓子を成形する時に用いる木製の型で、落雁などの干菓子や砂糖菓子、煉りきりなどの生菓子を作る際に使います。当美術館では、森八が前田藩の御用達を始めた江戸初期から現在に至るまでの菓子作りの歴史のなかで使ってきた千数百点にも及ぶ菓子木型を一堂に展示しています。
木型に彫られているのは花や草木、水など日本の自然から生まれた四季折々の意匠、魚介や鳥、虫などの生き物、そして家紋や文字など行事に合わせて作られた特別な意匠まで多種多様です。なかには、加賀前田家3代目藩主・前田利常公の創意により小堀遠州の手になる文字を原型とした代表銘菓「長生殿」の木型や、金沢の春を彩る桃の節句の砂糖菓子「金花糖」の木型などもございます。
鋭く力強いノミの跡は、工芸の匠の気迫の証し。使い込まれた握り跡は、菓子職人の誇り。自然も季節も人の一生も、てのひらに載る小さな菓子一つに映し込むことができる和菓子の奥の深さを、木型を通して感じていただけたら幸いです。
今年3月14日の北陸新幹線の開通で、金沢がぐっと便利になります。ぜひ、当美術館にも足をお運びください。お待ちしております。
中宮嘉裕(森八 社長)


■ 金沢菓子木型美術館住所:金沢市大手町10−15(森八本店2階) | ![]() |