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満1歳の誕生日が、初誕生です。明治以前に毎年、誕生日の祝いをしていたのは天皇家や公家、大名などだけで、一般の国民は誕生日を祝う習慣がありませんでした。しかし、この初誕生の祝いだけは、一般の人たちも昔から満年齢で祝いました。
初誕生では近親者が集まって子どもの成長をにぎやかに祝いますが、昔も今も赤ちゃんに「一升餅」を背負わせる家が多くみられます。一升餅は、米の「一升」と人生の「一生」の語呂合わせで、赤ちゃんが一生裕福に暮らせるようにとの願いが込められています。
ところで、日本で満年齢が使われるようになったのは明治以降のことで、それ以前は正月元旦に国民が一斉に年を取る「数え年」を用いていました。満年齢で数えるのが一般的になった現在でも、子どもの成長祝いや厄年、葬式の享年には数え年が使われています。
なかでも七五三は、日本中で見られる通過儀礼です。3歳で髪置き(男女)、5歳で袴着(男)、7歳(女)で帯解きの祝いをした中世の貴族や武家社会で行われていた儀式に遡るもので、7・5・3は吉兆の数字です。
11月15日を中心にした吉日に、3歳と7歳の女児、5歳の男児が晴れ着に身を包んで神社にお参りします。手には、縁起のよい図柄の袋に、長寿を願う紅白の長い飴の入った「千歳飴」。子どもと家族の明るい笑い声が、神社の境内に響きます。



illustration by 小幡彩貴
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