村岡総本舗のAnother Work No.183

柏屋のAnother Work

宝尽し文様入り羊羹舟(非公開)

羊羹資料館  

羊羹舟(漆塗り木製流し箱) 小城駅を中心としたJR唐津線車内販売時に羊羹を入れていた箱  「村岡総本舗 羊羹資料館」は、ここ小城の地で脈々と羊羹を作り続けてきた先人たちの心と技に目を向けることで、よりおいしい羊羹を作っていこうとの思いを込めて、昭和59年3月に小城本店の隣に開館しました。
 建物は、昭和16年に建てられた砂糖蔵を改装したものです。
 エキゾチックな洋館で、当時は大変な貴重品であった砂糖を湿気から守るため40センチほど床を高くした、火災にも強い煉瓦造り。平成9年6月には国の登録文化財になりました。

 展示室は2階にあり、羊羹の製法や歴史をビデオ・パネル・写真などで紹介するとともに、時代とともに変わってきた羊羹作りの道具類や砂糖、豆、寒天などの原材料、包装・レッテルなどを展示しています。使い込んだ道具類などから、羊羹作りに命がけで取り組んできた人々の情熱と、真摯な姿勢を感じていただけたら幸いです。
 別名「シュガーロード」とも言われ、南蛮菓子が伝えられた長崎街道にある小城市は、「九州の小京都」とも呼ばれる山紫水明の町です。羊羹のふるさと・小城へ、そして村岡総本舗羊羹資料館へぜひおいでください。

村岡安廣(村岡総本舗 当主)

■ 村岡総本舗 羊羹資料館

住所:佐賀県小城市小城町861
TEL:0952(72)2131
開館:8時〜17時

*切り羊羹とお茶のご接待もしております。
*5名様以上の場合は3日前までにご予約ください。
団体申し込みはHPからできます。

大正11年竣工の新工場で使われた初期の電動餡煉り釜   羊羹の原材料

■ 『村岡総本舗 羊羹資料館』ホームページ

http://www.m-youkansiryoukan.jp/

一六本舗のAnother Work No.185

一六本舗のAnother Work 伊丹十三記念館

  私と伊丹十三さんとのお付き合いは、「一六タルト」のテレビCMを作ってもらったことに始まります。やがて、映画の製作を援助してほしいという依頼に応えて資金を出すことになり、でき上がったのが『お葬式』でした。この映画の大ヒットにより、伊丹さんと、奥様で女優の宮本信子さんと私は、3人で伊丹映画を作り続けていくことになります。菓子屋の私にとって、予想もしなかったもう一つの人生が始まりました。この記念館も、そうした不思議な人生の出会いの延長線上に誕生したものです。
『伊丹十三記念館』の館長は、宮本信子さんです。宮本さんが「ここは、伊丹十三の家です」と、おっしゃっているように、おおらかで温かな雰囲気を大事にしています。中庭に立つカツラの木と、あちこちから顔を出している黄色のタンポポなどは、その象徴でしょう。
 一方、十三の名前にちなんで13のコーナーに分かれた常設展示では、多分、どなたもが、その多才ぶりに、またその仕事の上質さ、完成度の高さに驚かれることと思います。商業デザイナー、俳優、エッセイスト、映画監督……どれもが本物で、一流でした。
 伊丹さんは、みんなが、喜ばせようとがんばってしまうような人でした。つまり、笑顔のいい人だったのですね。ちなみに、ここ松山は伊丹十三が高校時代を過ごした土地で、父・伊丹万作(映画監督・脚本家)の故郷です。
 ぜひ、伊丹さんに会いに松山においでください。お待ちしております。

 玉置 泰(一六本舗 社長/ 伊丹十三記念館 館長代行)

■ 伊丹十三記念館(いたみじゅうぞう きねんかん)

住所:愛媛県松山市東石井1丁目6-10
TEL:089(969)1313
開館:10時〜18時(入館は17時30分まで)
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始、保守点検日
入場料:大人800円、高・大学生500円、中学生以下無料

左手の車庫には伊丹の最後の愛車、ベントレーが展示されている

■ 『伊丹十三記念館』ホームページ

http://itami-kinenkan.jp/

豊島屋のAnother Work No.186

豊島屋のAnother Work 鎌倉市海水浴場の命名権(材木座・由比ガ浜・腰越海水浴場)

 昨年3月、新聞を見ていた私は、アッと声を上げました。鎌倉市が市内3つの海水浴場(材木座・由比ガ浜・腰越)の維持管理費を確保するため、海水浴場の命名権(ネーミングライツ)のオークションをするという記事が出ていたのです。「そんなに困っていたのなら、なぜ早く市民に公表し、相談しなかったのか」。驚き、憤慨しながら、ともかく命名権を獲らねばと心を決めました。
 子どもの頃には親に連れられての夕涼みの散歩がてら浜辺に並ぶ屋台の射的やスマートボールで遊び、青春時代には仲間たちと夏を謳歌した浜。そこが、スポーツ施設のような人工物でもないのに、企業名や商品名などで呼ばれることに違和感を覚えたのです。
 命名権取得には、県内外から9つの企業や個人が応募しました。当社が金額を含めた総合評価にて獲得。今年2014年3月に、3つの海水浴場の愛称とロゴマークを公募しました。結果は――。
 全国から届いた約400件ものご意見の約1割、最多の案が「新たな愛称はつけず、これまで通りに」。これで、良し! 決定しました。
 それにしても、今回、多くの方から「ありがとう」という言葉をたくさんいただきました。思ってもいなかったことで驚いています。
 当社が取得した権利の期間は10年間。その間に、命名権料に頼らなくても必要な資金を海水浴場自らが生み出す仕組みを創っていければと思います。
 海・山の自然に恵まれた鎌倉。ふるさとへの恩返しの仕事は、始まったばかりです。

 久保田陽彦 (豊島屋 社長)

交通の便がよく、比較的波が穏やかな鎌倉の3つの海水浴場には、夏の2カ月間に100万人以上が来場する。

7月1日に行われた海開きの神事。海水浴場に集う人たちの安全を祈願した。 小さな子どもたちが海で安全に遊べるように、由比ガ浜の波の穏やかな区画に「キッズ&ファミリービーチ」を市に提案。2014年夏、初めて開設した。 蒸し羊羹「由比の濱」、干菓子「和賀江島」。豊島屋では古くから鎌倉の海辺の景色や風情に題材をとった菓子を作ってきている。 ロゴマークは海水浴場のグッズなどに使用。その収益を海水浴場の維持管理費に充てるなど、海を訪れる皆が負担を分け合う仕組みに役立てられたらと考えている。

■ 豊島屋

神奈川県鎌倉市小町2-11-19(本店)
TEL:0467(25)0810
https://www.hato.co.jp

左手の車庫には伊丹の最後の愛車、ベントレーが展示されている

森八のAnother Work No.187

森八のAnother Work 金沢菓子木型美術館

菓子木型がぎっしりと並ぶ圧巻の展示が森八の長い歴史を物語る。

 私ども森八は寛永2年(1625)に、ここ金沢で和菓子屋の暖簾を揚げました。おかげさまで創業390余年を迎えておりますが、2011年に本店を新築移転いたしました際、2階に「金沢菓子木型美術館」を造りました。  菓子木型は文字通り、和菓子を成形する時に用いる木製の型で、落雁などの干菓子や砂糖菓子、煉りきりなどの生菓子を作る際に使います。当美術館では、森八が前田藩の御用達を始めた江戸初期から現在に至るまでの菓子作りの歴史のなかで使ってきた千数百点にも及ぶ菓子木型を一堂に展示しています。
 木型に彫られているのは花や草木、水など日本の自然から生まれた四季折々の意匠、魚介や鳥、虫などの生き物、そして家紋や文字など行事に合わせて作られた特別な意匠まで多種多様です。なかには、加賀前田家3代目藩主・前田利常公の創意により小堀遠州の手になる文字を原型とした代表銘菓「長生殿」の木型や、金沢の春を彩る桃の節句の砂糖菓子「金花糖」の木型などもございます。
 鋭く力強いノミの跡は、工芸の匠の気迫の証し。使い込まれた握り跡は、菓子職人の誇り。自然も季節も人の一生も、てのひらに載る小さな菓子一つに映し込むことができる和菓子の奥の深さを、木型を通して感じていただけたら幸いです。
 今年3月14日の北陸新幹線の開通で、金沢がぐっと便利になります。ぜひ、当美術館にも足をお運びください。お待ちしております。

 中宮嘉裕(森八 社長)

館内の主展示室。天井には無数の星がまたたき、悠久の宇宙空間を表現している。ドラマティックなこの美術館の空間は、2012 年のグッドデザイン賞を受賞した。

森八を代表する銘菓「長生殿」と、その木型。格調高い菓子の意匠が、鋭く彫り込まれた木型から打ち出される。

■ 金沢菓子木型美術館

住所:金沢市大手町10−15(森八本店2階)
開館:午前9時〜午後5時(年始2日間は休館)
入館料:大人200 円、小・中学生100 円
TEL: 076(262)6251
https://www.morihachi.co.jp/honten_museum

森八本店の外観。1階は店舗、2階に茶寮と「金沢菓子木型美術館」がある。

神戸凮月堂のAnother Work No.189

神戸?月堂のAnother Work「神戸?月堂サロン講座」

菓子木型がぎっしりと並ぶ圧巻の展示が森八の長い歴史を物語る。

 私ども神戸凮月堂では「お菓子は文化のエッセンス」を信条として、神戸の文化振興の一助にと様々な催しを企画開催しております。
 なかでも平成元年(1989)に始まった『神戸凮月堂サロン講座』は、犬養孝さんの「万葉賛歌」、井上章一さんの「美人論」、鹿島茂さんの「ギュスターブ・モロー」、冷泉為人さんの「冷泉家の歴史と文化」、江後迪子さんの「姫路城の茶の湯と菓子」な ど、多彩な分野の講師をお招きして四半世紀余、この春、170回を迎えました。
 国際貿易港として海外の多様な文化の影響を受けてきた神戸には、独自のハイカラな文化が生活スタイルとして根付いており、お菓子も文化の一つとして磨かれてきました。当店は、そうした街の風土を重んじ、文化と経済を両輪に歩んできております。サロン 講座が誕生したのも、そしてこれほど長く続いているのも、ここ神戸だからこそと言えましょう。
 サロン講座は、元町本店の地階に設けた凮月堂ホールで100名ほどのお客様をお迎えして開催しています。毎回、四季の自然やその日の講演のテーマを写したお菓子をお出しするのが決まりで、こちらも楽しみにしていただいています。
 173回目となる今夏は、戦没画学生の遺作を集めた異色の美術館「無言館」の館主・窪島誠一郎さんをお招きして開催いたします。ぜひ一度、サロン講座へ、そして美しい港町・神戸においでください。
お待ちしております。

 下村治生(神戸凮月堂社長)

館内の主展示室。天井には無数の星がまたたき、悠久の宇宙空間を表現している。ドラマティックなこの美術館の空間は、2012 年のグッドデザイン賞を受賞した。

森八を代表する銘菓「長生殿」と、その木型。格調高い菓子の意匠が、鋭く彫り込まれた木型から打ち出される。

神戸凮月堂サロン講座

■場所:凮月堂ホール(神戸風月堂元町本店B1)
      神戸市中央区元町通3-3-10

森八本店の外観。1階は店舗、2階に茶寮と「金沢菓子木型美術館」がある。

龜屋のAnother Work No.197

龜屋のAnother Work

 龜屋は天明3年の創業以来、235年にわたり川越で菓子業を営んで参りました。
 当地は川越藩の城下町として栄え、現在も江戸の町並みの面影を残すことから「小江戸」と呼び親しまれ、多くの観光客の方々で賑わっています。昨年には川越氷川祭(川越祭り)が「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録され、2020年の東京オリンピックではゴルフ競技が開催されることも決まりました。

 さて、蔵造りの本店に併設された公益財団法人「山崎美術館」は、龜屋の4代目山崎豊が蒐集した橋本雅邦の作品を軸とした日本画のコレクションを公開するため昭和57年(1982)に設立されたものです。
 橋本雅邦は川越藩のお抱え絵師で、明治政府のお雇い外国人アーネスト・フェノロサの援助を受け、狩野芳崖とともに近代日本画を担った人物です。また、東京美術学校で下村観山、横山大観、菱田春草などの指導にあたったことでも知られています。この雅邦を、4代目は川越の有志を中心に「画宝会」を結成して作品を頒布し、援助しました。

 当館では雅邦の作品を軸に雛人形や五月人形、陶磁器、菓子の木型など、山崎家・龜屋に伝わる資料の展示を行っております。建物は龜屋の旧工場と蔵の一部を改築したもので、蔵造り建築の特徴や意匠を内から見ることができます。
 井戸端の休憩所ではお茶と菓子もお楽しみいただけます。川越散策の際には、ぜひお立ち寄りください。

かつて米屋が製造していた羊羹の包み紙。「空港羊羹」や「三越の羊羹」など珍しいものも。 戦前から戦後にかけて成田で製造販売されていた羊羹のパッケージ。成田が羊羹の町であることがよくわかる。

公益財団法人 山崎美術館

住所:埼玉県川越市仲町4−13
電話:049−224−7114
時間:9:30〜17:00(入館は16時30分まで)
木曜休館(祝祭日の場合は開館)
入館料:一般500円、高・大学生350円、
小中学生200円
ホームページ
https://www.koedo-kameya.com/sp.html
山崎美術館は、龜屋本店に併設されている
赤福

龜屋のAnother Work No.206

龜屋のAnother Work

 「和菓子を、毎日楽しめるような身近なものにする」をコンセプトとするkashichiでは、店の2階で毎週土日と祝祭日に和菓子作り体験を開催しています。定員は毎回10名までと絞り、45分ほどのお時間で2種類の上生菓子を作っていただくという趣向。季節のうつろいを写す和菓子の文化を知っていただくため、毎回、異なるお菓子になるよう心掛けています。

 また、職人はただ作り方だけでなく、菓子の背景にある文化や、使用する材料や道具、そして普段の仕事内容にいたるまで、どんなご質問にもお答えするよう努めています。それは、この体験を通じて、より多くのお客様に龜屋の菓子作りを知っていただき、和菓子をより身近に感じていただきたいという思いからです。
 和菓子作り体験は、当店以外にも何軒もの全国銘菓加盟店が行っていますので、いろいろなところで体験し、各店の菓子の特徴や個性を実感していただくのも、楽しみ方の一つかもしれません。
 kashichiの1階では、この店のオリジナルの菓子も販売しています。龜屋の新たな試みをのぞきに、ぜひ川越にお越しください。

龜屋 kashichi

住所:埼玉県川越市幸町1-13
電話:049(228)3320
ホームページ
https://www.koedo-kameya.com/【龜屋】
*土日祝祭日 1日3回開催
*生菓子 2品作成 参加費2000円(税別)

とらやのAnother Work No.205

お菓子の香梅のAnother Work

 とらやは室町時代後期の京都で創業し、御所御用を勤めて参りました。1869年(明治2)、東京遷都に伴い、京都の店はそのままに東京にも店を開設し、赤坂の地では140年ほど商いを続けております。
 地上9階建ての旧赤坂店は、東京オリンピック開催年の1964年に誕生。それから半世紀が経ち、これからの時代にお客様にとって居心地の良い店でありたいと願い、2018年秋、和菓子屋として必要な要素に特化した低層の建物として生まれ変わりました。
 外観はガラス張りで、吉野の檜を使用した店内には自然光が降り注ぎます。3階に菓子製造場と菓寮、1〜2階に売場があり、地下1階のギャラリーは、檜の無垢材2万ピースを立体的に組み上げた格子状の壁で覆われています。

 同ギャラリーでは、和菓子や日本文化にちなんだ企画展やイベント、虎屋文庫による資料展を開催しております。大正時代の菓子見本帳に描かれた450点に及ぶ羊羹のデザインや書の展示、菓子と花をテーマとする展示などを行って参りました。
 現在は、当社の東京出店150周年に際し、永年にわたるお客様への感謝の気持ちを込めた記念の展示「千里起風」を開催中(〜9月5日まで)。幕末の動乱、東京大空襲、東京オリンピックなど様々な出来事に遭遇しながらも、歩みを続けてきた歴史を絵巻物でご紹介しております。
 皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております。

(浅田ひろみ (株)虎屋赤坂文化事業課)

虎屋 赤坂ギャラリー

住所:東京都港区赤坂4-9-22「とらや 赤坂店」地下1階
電話:03(3408)4121 (代表)
ホームページ
https://www.toraya-group.co.jp/
*企画展の会期や開館時間、休業日などはホームページでご確認ください。
*秋には羊羹をテーマにした「虎屋文庫資料展」を開催予定。

竹風堂のAnother Work No.203

お菓子の香梅のAnother Work

明治26年(1893)創業の栗菓子店、竹風堂。現在13ある直営店は、すべて長野県内に所在しております。
 本店がある小布施町は、人口1万1千人の小さな町ですが、江戸時代からの特産である小布施栗は、徳川三大果の一つと称えられたほどで、現在も栗の製菓に関わる菓子店が数社に及んでいます。また、江戸末期には80歳を超えた浮世絵師・葛飾北斎が再三訪れ、世界的に高い評価を受けている祭り屋台の天井絵「波の図」をはじめ数々の傑作を描いた地としても知られています。
 本業と併せて地元に文化的貢献を果たすことを企業理念とする当社が、本店の中庭に建つ明治〜昭和初期の土蔵3棟を改装して「日本のあかり博物館」を開いたのは昭和55年(1980)のことでした。コレクションの中核をなしている「北信濃およびその周辺地域の灯火具」963点が文化庁から国の重要有形民俗文化財に指定されたことがきっかけです。

 あかりの道具は、明治の中頃に電灯がともるまでの間、たき火に始まり、あんどん、ロウソク、提灯、ガス灯、石油ランプなど様々なものが考案されてきました。「日本のあかり博物館」は、それらの貴重な民俗遺産を収集・公開・展示する日本初の古灯火具専門館です。ぜひ、いにしえのあかりの世界にお越しください。
 なお、館では特に子どもたちの来館を歓迎しています。火起こしやキャンドルづくりのワークショップなどにも力を入れています。

(竹村猛志 竹風堂相談役)

公益財団法人 日本のあかり博物館

住所:長野県上高井郡小布施町973
電話:026(247)5669
開館時間:9時〜17時 *11/21〜3/20は9時30分〜16時30分
ホームページ
https://www.nihonnoakari.or.jp

西川屋老舗のAnother Work No.202

お菓子の香梅のAnother Work

「西川屋おりじん」は、私ども西川屋老舗の赤岡本店を改築した際に発見された古文書や菓子道具を公開している資料館です。
 赤岡は、大盃で豪快に酒を飲み干す「どろめ祭り」や、幕末の絵師・絵金が描いた屏風絵を所蔵する家々が軒先に展示する「絵金祭り」などで知られていますが、古くから市がたち、参勤交代の折には藩主がご宿泊された町でした。代々、素麺や麩、菓子を作り、慶長6年(1601)の山内一豊侯の入国以降は土佐藩山内家の御用を勤めていた当家が、初めての店を赤岡の地に構えたのも、町の豊かさが背景にあってのことでした。
 この資料館の展示も、山内家御用関係の古文書が中心となっています。なかでもご覧いただきたいのが、屏風に25枚の古文書を貼り付け仕立てた「御用状 貼り交ぜ屏風」です。文書の内容は、梅干入りの干菓子についての記述や、隠居された藩主の古希を祝う菓子の注文など様々で、どなたでも読んでいただけるよう全文を翻刻したパンフレットもご用意しております。なお、文書の紙の色が違うのは、正式な文書の紙を時期により変えていた藩の政策によるものです。
 1階には、包装用に使っていた江戸期から昭和初期にかけての木版印や、絵金が描いた幟などを展示しております。また、赤岡本店限定の菓子などを楽しんでいただけるお席もございます。  古き佳き町にある土佐の和菓子文化の伝承と発信の拠点に、ぜひ一度お越しください。

(池田聰博 西川屋老舗社長)

西川屋おりじん

住所:高知県香南市赤岡町470
電話:0887(54)3066
営業時間:土・日曜の10時〜17時30分
ホームページ
http://www.nishigawaya.co.jp/akaoka-honten.htm